2015年01月29日

ルソー『孤独な散歩者の夢想』新潮文庫

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孤独な散歩者の夢想 (新潮文庫)

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・「僕は自分の全努力がむだであることを感じ、かついたずらに煩悶しているのだと知って、自分に残されている唯一の決心をしたのである。すなわち、自分の運命に甘んじようという決心で、今後は、必然的なことには反抗しないことにしたのである。僕はこのあきらめの中に、僕のあらゆる不幸の償いを見いだしたのだ。それは、あきらめのために得た静謐であった。困難にして効果のうすい抗争の絶え間ない活動などは縁のない静謐であった。」(p. 9)

・「もとより苦難が偉大な教師であることはいうまでもない。しかし、この教師たるや授業料がはなはだ高価で、それから得る利益が、支払った対価ほどでないことが多いのだ。そのうえ、かくのごとき晩学では、学んだ知識をことごとくわがものとする前に、それを適用すべき時期が過ぎ去ってしまう。青春時代は叡智を学ぶべきときである。老年時代はそれを実行すべきときである。」(p. 37)

・「こうして僕は知ったのである、善いことを心たのしくなすためには、僕は自由に、拘束なく行動する必要があることを。そして、善行が僕にとって義務になれば、ただそれだけで、そのあらゆる甘美は奪われてしまうものであることを。そのときから、責務の重圧のため、最も甘美な享楽も、僕には重荷になってしまう。」(p. 112)

・「かかる悲しむべき状態の中で、僕が絶望に陥るのは当然のことに思われたのに、長い苦悩を重ねた果て、僕がそこにふたたび見いだしたのは、静謐、安穏、平和、そして、幸福でさえあった。なにしろ、僕の生活の日々は、前の日を心たのしく思い出すことであり、そして、翌日も、きょうの日と同じようであるのを念ずることであるから。」(p. 156)

・「僕は明日の苦労などくよくよ考えてみてもしかたない、ただ、きょう苦しまなくて、安閑としていられればそれで結構だ。」(p. 162)

・「幸福というのは、一つの不易の状態であるが、かかる状態は、この世では人間にとって誂えむきにできていないらしい。地上にある一切は普段の変転のなかにあって、不変の形体をとることは何物にもゆるされないのである。われわれの周囲の一切のものは変化する。われわれ自身が変化する。そして、きょう愛するものを明日も愛するであろうなどと、いかなる人といえども確信することはできまい。かようにして、現世の至福を求めようとするわれわれの計画はすべて妄想でしかないのだから、精神の満足が得られるときには、のがさずそれを有益に使おう。迂闊にもそれを疎んずるようなことはしまい。」(p. 170)

・「僕は幸福な人間というのをめったに見たことがない。おそらくは一人も見なかったろう。しかしながら、心の満足している人々ならしばしば見た。そして、僕を感動させたあらゆる対象の中で、僕自身を最も満足させたのは、実にこういう人だったのである。(中略)満足は、眼に、容貌に、語調に、足どりに読みとられる。そして、その満足に気づく人にも、それは伝播するように思われる。」(pp. 170-171)

・「孤独と黙想を求める嗜好が、僕の心に生れた。そして、それと同時に、その心の糧になるためのあふれでるやさしい感情が生れてきた。喧噪と騒音は、そのようなういういしい感情をしめつけ、窒息させる。静寂と平和は、これを活発にし、昂らせる。」(p. 195)

● 本書に関連するリンク
ジャン・ジャック・ルソー「孤独な散歩者の夢想」(松岡正剛の千夜千冊)

・(PDF)井上櫻子「『孤独な散歩者の夢想』における自己弁護の戦略−−ルソーにおける道徳性と快楽に関する思索と夢想の概念との関係」(『仏文研究』2005, 36: 11-36)

posted by R_Partner at 11:30| Comment(0) | 新潮文庫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする