2016年11月15日

セクシュアリティの二重基準

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最近では、二重基準という概念はとりわけ性の文化におけるインフォーマルな行動規範や規則の分析と結びつけられている。欧米社会は社会変動を経て、セクシュアリティも以前より自由化されたにもかかわらず、セクシュアリティを統御する規範や規則については男女でいまなお著しい差異があると社会学者たちは指摘する(Hawkes 1996)。セクシュアリティに二重基準があるということは、女性であれば不適切だと社会的に非難を浴びるような性行動でも、男性であれば是認されるばかりか、称賛まで受けるかもしれないということだ。

 セクシュアリティに二重基準が存在することについては、数多くの証拠がある。たとえばイギリスのある代表的な全国調査において、過去に交際したことのある異性愛パートナーの人数について尋ねた際に、男性のあげた人数は女性よりも多かった。この結果は、男性の活発な性行動は許容されるのに対して、複数のセックス・パートナーと交際したことのある女性ははるかに否定的に見られる傾向を反映しているという。この調査では、行きずりのセックスについて男女で見解が大きく異なっていることもわかった。「一夜限りの関係」が良くないことだと回答した女性は63%だが、同じ回答は男性では36%にすぎなかった(Wellings et al. 1994)。

 現在、イギリスでは性解放から数十年が経過し、伝統的な性道徳も影響を受けたと想定されるのだが、若者のセクシュアリティについての研究では、性の二重基準の根強さが判明している。リーズ(Lees 1989)の調査では、若者たちの性の文化においても、性的評判に二重基準が存在していることが明らかになった。「性的モラルについて噂を立てられると、少女の評判は壊滅的になる。しかし少年の場合、性的な手柄があれば評判が上がるのが普通だ」(Lees 1989: 19)。「だらしない女 slag」「ふしだらな女 tart」のような語は、少女のセクシュアリティを社会的に規制し統制するための重要な手段である。リーズによれば、社会的評判にかかわるこのような言い回しは少女にだけ適用され、少年向けの同様のレッテルは存在しない。少女たちは、「だらしない」「ふしだら」などのレッテルを貼られないように、自分のセクシュアリティ、たとえば着こなし、少年たちとの交際、性体験の回数や頻度などをつねに自分で監視し、チェックしていなければならない。

 ホランドほかの調査(Holland et al. 1996)においても、若い男性と女性では似通った性行動に対して、性的評判が異なることが明らかになった。ある若い女性はインタビューに答えてこう語った。「私たちがいろんな相手と寝るとだらしないと言われるけれど、男が同じことをするとラッキーだったね、と言われるのよ」(Hokkand et al. 1996: 242)。調査結果をもとに、ホランドたちは、若い女性も若い男性も、男性支配の異性愛の規則に合わせてみずからのセクシュアリティを構築していると論じている。若い女性たちが自分の性的評判を守り、経験豊富(プロミスキュアス)というレッテルを貼られないように努めねばならないのに対して、若い男性たちは同性の仲間内での性的な名声を高めるために、評判が嘘ではないと示してみせなければならない。





ラベル:フェミニズム
posted by R_Partner at 16:30| Comment(0) | その他 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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